日本の電力
3つの市場まるわかりガイド

JEPX・需給調整市場・容量市場のしくみを
図解でやさしく解説します

まず全体像をつかもう

⚡
JEPX(卸電力市場)
明日・今日の
電気を買う市場
kWh価値
⚖️
需給調整市場
電気のズレを直す
待機力を買う市場
ΔkW価値
🛡️
容量市場
数年先の電気が足りるよう
備える市場
kW価値

🍱 レストランにたとえると…

🛒
JEPX
毎日の食材を仕入れる
「市場での買い出し」
👨‍🍳
需給調整市場
急な注文に対応できる
「待機シェフの確保」
🏗️
容量市場
来年もお店を続けるための
「厨房設備の維持費」

電力の流れと3市場の関係

🏭 発電所 火力・太陽光・風力等 🏠🏢 需要家 家庭・企業 売電 供給 JEPX 卸電力市場 ⚡ kWh取引 ⚖️ 需給調整市場 リアルタイムのズレを調整 ΔkW取引 調整力提供 🛡️ 容量市場 数年先の供給力を確保 kW取引 供給力確保 運営: EPRX 運営: OCCTO
⚡

JEPX(卸電力市場)

日本卸電力取引所 ─ 電力量(kWh)を売買
📅
スポット市場
翌日分の電気を
30分×48コマで取引
🕐
時間前市場
当日の急な変動に
対応するための取引
🔒
約定方式
他者の注文は見えない
ブラインドオークション
💰
価格変動
需給で大きく変動
小売の採算に直結
💡 ポイント:小売電気事業者にとっては「電気の仕入れ先」、発電事業者にとっては「電気の販売先」。スポット価格が高騰すると、小売側の利益が圧迫されるリスクがあります。
⚖️

需給調整市場

運営:EPRX(電力需給調整力取引所) ─ 調整力(ΔkW)を売買
🎯
目的
周波数制御や
需給バランスの維持
🔋
参加リソース
火力・蓄電池・自家発
DR・アグリゲーター
☀️
再エネとの関係
再エネ増加で
重要性が増大中

商品区分(応答速度順)

🚀 一次調整力最速 ─ 周波数即応
⚡ 二次調整力①速い ─ LFC対応
🔧 二次調整力②やや速い
📊 三次調整力①中程度
🌤️ 三次調整力②GCまでの再エネ誤差対応
💡 ポイント:再エネ(太陽光・風力)の出力変動が大きいほど「すぐ動ける調整力」の価値が高まります。蓄電池やDR事業者にとって、JEPXとは別の重要な収益源です。
🛡️

容量市場

運営:OCCTO(電力広域的運営推進機関) ─ 供給力(kW)を確保
📆
時間軸
実需給の4年前に
メインオークション
🏗️
目的
将来も電気が足りるよう
発電能力を確保
💸
お金の流れ
小売等が拠出金を負担
→ 発電者に支払い
発電事業者等 供給力を提供 🛡️ OCCTO オークション運営 小売電気事業者等 拠出金を負担 応札 容量確保契約金 容量拠出金
💡 ポイント:2020年に初回オークション、2024年に初の実需給が始まり、すでに実運用フェーズ。新電力にとっては「容量拠出金」というコスト増要因、発電者にとっては安定収入源です。

3市場 かんたん比較表

比較項目 ⚡ JEPX ⚖️ 需給調整市場 🛡️ 容量市場
何を取引? 電力量
kWh
調整力
ΔkW
供給力
kW
ひとことで 使う電気の売買 ズレを直す力 将来の備え
時間軸 前日〜当日 リアルタイムに近い 数年先
主な買い手 小売電気事業者 一般送配電事業者 OCCTO(制度運営)
主な売り手 発電事業者 発電・蓄電池
DR・アグリ
発電事業者等
運営 JEPX EPRX OCCTO

事業者タイプ別の関わり方

🏭

発電事業者

  • JEPXで電気を売る
  • 需給調整市場で調整力を売る
  • 容量市場で供給力価値を売る
  • 1つの電源で3種の収益化が可能
🏪

小売電気事業者

  • JEPXで電気を仕入れる
  • 容量拠出金を負担する
  • 需給調整コストの影響を間接的に受ける
  • 粗利管理はJEPX価格だけでは不十分
🔋

蓄電池・DR・アグリゲーター

  • 需給調整市場と相性抜群
  • 応動性・制御性が高いほど有利
  • 容量市場でも収益化の可能性
  • 再エネ拡大で活躍の場が増加中

よくある誤解 Q&A

Q JEPXがあれば他の市場はいらないのでは? ▼
いいえ。JEPXで取引できるのは「今必要な電力量」だけです。瞬時の調整力(需給調整市場)や、将来の供給力維持(容量市場)はJEPXではカバーできません。3つの市場が補い合って初めて安定供給が成り立ちます。
Q 「EPRX = 需給調整市場」ですよね? ▼
厳密には違います。EPRXは需給調整市場を運営する取引所の名前です。市場そのものの正式名称は「需給調整市場」です。JEPXが卸電力市場を運営するのと同じ関係です。
Q 容量市場は電気を売る市場? ▼
違います。容量市場で売買するのは電気そのもの(kWh)ではなく、将来の供給力の価値(kW)です。「いざという時に発電できる能力」に値段をつける市場です。

まとめ:電力の三層構造

🛡️ 容量市場
そもそも将来足りなくならないよう供給力を確保
⚖️ 需給調整市場
それでもズレる分を調整力で支える
⚡ JEPX(卸電力市場)
まず必要な電力量を売買で合わせる

この3つを理解すると…
「なぜ再エネや蓄電池が注目されるのか」
「なぜ新電力の採算がJEPXだけでは決まらないのか」
「なぜ容量拠出金が問題になるのか」
がスッキリ見えてきます。